超マイナースポーツ「チェスボクシング」は知力と体力を兼ね備えた最も完璧なスポーツらしいという話
チェスボクシングはガチなスポーツ
数年前から「暗闇ボクシング」が流行っているのをご存じの方も多いだろう。
暗闇の中で大音量の音楽を流し、ギラギラした極彩色のスポットライトを浴びながらボクシングをして思いっきり汗を流すアレである。
もともとニューヨークで流行したいたのだが、スポーツというよりフィットネスという認識で日本にも輸入され、専門のジムができるほどブームになった。
だが、その暗闇ボクシングよりずっと以前にできたのが「チェスボクシング」だ。
これはフィットネスではなく、ガチスポーツである。
受け狙いでどこかの自治体が興行的にやっているわけではない。
ガチ中のガチである。
しかし、チェスボクシングを知っている人は確実に少数派だろう。
筆者である私も初めて聞くスポーツだった。
「チェス」と「ボクシング」の組み合わせは一見、丸い箱の中に三角形のブロックを詰め込むような違和感しか感じられない。
そんなスポーツが本当に存在するのか、疑いたくなる気持ちも分かる。
うん、分かるよ分かるよ。
一部の人から熱狂的に支持されている
だが海外では知る人ぞ知る、的な新しいスポーツとして一部の人に熱狂的な支持を受けているようなのだ。
にわかには信じがたいと思うので、まずはこちらの動画をご覧頂こう。
【驚愕】チェスとボクシングが混ざった競技が話題に【マイナースポーツ】
お分かり頂けただろうか?
会場は満員で、ラウンドガールまでいる。
つまらないと一蹴するのは簡単だが、そこに面白みを見出し自由な発想を喜び、新しい価値観を積極的に需要する柔軟な精神があれば、人は日常では味わえない非日常を栄養源にして幸せを感じられる生き物であることを、知るべきなのかも知れない。
チェスボクシングができた経緯
そもそも、どうして「チェスボクシング」というスポーツができたのか。
元を辿ると、フランス人のコミック作家エンキ・ビラル(Enki Bilal)氏が1992年に発表した作品「冷たい赤道」に登場する架空のスポーツという。
その架空のスポーツを現実化したのが、オランダ人アーティストのイップ・ルービング氏。
ルービング氏は2003年に世界チェスボクシング機構(WCBO)を立ち上げ、世界各国で世界大会をエネルギッシュに開催しているという。
現在では、世界10か国に競技連盟があるという。なかなかワールドワイドに浸透しているじゃないか。
選手の人数はヨーロッパを中心に約3500人。
本家のボクシングと比べるまでもないが、これだけいればそれなりにクオリティーの高い大会は開催できるはずだ。
チェスボクシングのルールと勝敗の決まり方
チェスボクシングのルールは簡単である。
最初にチェスから始まり、次のラウンドではボクシングというように、交互にチェスとボクシングで戦うようになっている。
チェスは1ラウンド4分(持ち時間12分)、ボクシングは通常のボクシングルールと同じ1ラウンド3分。
チェスが6ラウンド、ボクシングが5ラウンドの合計11ラウンドで構成されている。
チェスのラウンドではチェックメイトか持ち時間のオーバー、ボクシングではノックアウトによって試合が終了する。
知力と体力を兼ね備えたハイブリットスポーツ
勝敗を決するポイントは、やはりチェスのようだ。
ラウンドを重ねてくると、体力を消耗し、当然のように集中力も途切れがちになる。
思考力も落ちてくる。冷静な判断もできなくなってくる。
そこでいかに、思考力を維持し冷静な判断ができるか。
試合の勝負はまさにこの点にかかっている。
知力だけあっても勝てないし、体力だけあっても勝ちに結びつけることは簡単ではない。
知力と体力を賭けた大勝負が、この「チェスボクシング」では毎試合繰り広げられている。
そう言っても、たぶんだが、過言ではないだろう。
世界チャンピオンになった経験のあるトマス・カズヌーブ氏によると、チェスボクシングは「最も完璧なスポーツである」という。
世界チャンピオンになっただけあって、深い言葉だ。
深い、実に深い。
これは1つのスポーツを極めた人にしか分からない、神の領域から出た言葉といっていいだろう。
だからこそ、深い。
どうだろうか…?
少しは興味が湧いてきたのではないだろうか?
知力も体力も貧弱すぎるほど貧弱な私でも世界チャンピオンになれるかもしれない。
だって競技人口3500人ですよ。
そのうち本気でやっている人が何人いるか。
本気で取り組めば、数年後には一部の人の熱狂的支持を集めるカリスマチェスボクシング選手になることだって夢じゃないかもしれない。
何が何でも世界チャンピオンという称号が欲しい!
という方には、おすすめしたいニッチなスポーツである。
興味ある方は、ぜひ試して頂きたい。